【隠れ貧血(潜在的鉄欠乏症)はじつは多い】
健康診断で貧血とは認められないけど、体内の貯蔵鉄が不足しているために、「身体がなんとなく疲れる」という隠れ貧血(潜在的鉄欠乏症)の女性が現在6割以上いるのではという論文が、Journal of Orthomolecular Medicine 2005 ; 20:143-159 で発表されています。
聖路加国際病院の人間ドックの医師によると、1000万人以上の女性が当てはまるという記事もネット検索で出てきますね。
私は医師から血液検査データーの見方を少し習っています。
手元に自分の健康診断結果があればある程度鉄不足が予想できます。通常の検査では調べないことも多いので、人間ドックや不妊治療なら記載されていることが多いです。
女性の場合:
検査項目 | 基準値 | 理想値 |
ヘモグロビン(HGB) | 11.5 ~ 15.0 g/dl | 13.0 ~ 14.5 |
ヘマクリット(HTC) | 34.8 ~ 45.0 % | 40.0 ~ 45.0 |
MCV(赤血球平均容積率) | 85 ~ 102 fL | 95.0 以上 |
フェリチン(貯蔵鉄) | 4.0 ~ 64.2 ng/mL | 45.1 以上* |
*妊活中はさらに多い方が望ましい。30から40台は80以上が理想です。
【基準値と理想値の違い】
基準値というのは、20才から60才までの健康な男女の検査データーの平均値で、そのうち上限と下限2.5%を差し引いた95%の数値が使用されています。
この中に入っているから健康だという訳ではじつはありません。
知って欲しいのは基準値は幅があるということです。
理想値というのは、分子整合栄養医学で、身体の中で栄養的にこの値が望ましいとされている数値です。
私が血液検査データーの見方を教わる先生も、血液専門内科クリニックでこの数字を参考にしています。
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【鉄の役目は?】
代表的なのは、赤血球のヘモグロビン(鉄とタンパク質グロビンが結合したもの)です。これが少ないと身体に酸素をうまく供給できません。
骨や皮膚・粘膜の生成にも鉄が必要です。
コラーゲンも鉄が合成を促進します。あなたの美しい肌には必要ですね。
そして神経伝達物質にも鉄は補助的に関与します。
鉄が少ないと、睡眠覚醒が上手く出来ない・イライラする・疲れる・落ち込みやすいなどの状態になります。
【妊活の人はフェリチンの量が大事】
楽しい妊活のためには、このフェリチンの量は気になるところなんです。
海外では、妊活中の女性はフェリチンが40以上ないと妊活を認めないそうです。
私たちは、汗や尿・便などで約1㎎の鉄を排泄しています。
女性はそれに加えて、月経によって喪失する鉄量は約30mgに相当するそうです。
男性より女性は2倍鉄を消費するので慢性的な鉄不足の状態をかかえているともいえます。
妊娠するとさらに、胎盤への血液供給や赤ちゃんの赤血球産生により鉄の需要は、約3倍必要だそうです。
【鉄はタンパク質と一緒に摂らないと吸収されにくい】
食品からとれる鉄には、肉や魚などに含まれるヘム鉄と野菜や果物に含まれる非ヘム鉄があります。
妊活中のかたは、ヘム鉄で摂ることが大事です。非ヘム鉄は身体の吸収率が低いからです。ヘム鉄は10から30%にたいして非ヘム鉄は5%です。
ヘム鉄が多い食品:
レバー・牛肉・豚肉・鶏肉・カツオ・アサリ・大豆食品 など
もともと貧血気味のかたは、鉄不足の改善をはかりましょうね。